リンカーンの演説には「人民の人民による人民のための政治」という有名な文言がありますよね。
この演説は非常に有名であり、大統領演説の中でも最も有名なものと言えるでしょう。
独立宣言やアメリカ合衆国憲法と並んで重要な演説だとも考えられています。
しかし、実はこの文言というのはリンカーンが考え出したものではありません。
実は聖書から来たものなのです。
ここでは、この文言はどこから来たものなのかという事について解説します。
ウィクリフ聖書
今から100年ほど前、ジョン・ウィクリフという人物が聖書を翻訳しました。
この中には「この聖書は人民の人民による人民のための統治に供するためにある」と書き込んだのです。
リンカーンの演説に出てくる「人民の人民による人民のための統治」という文言はこの箇所から来ていると考えられています。
つまり、キリスト教を意識したものであるということがわかりますね。
歴代大統領は様々な演説を作り出してきていますが、このように聖書からヒントを得たものも少なくありません。
ゲティスバーグ演説とは
この文言というのはどの演説で使われているものなのでしょうか。
これはリンカーンの演説の中でも有名な1863年のゲティスバーグ演説から来ています。
1863年11月19日、リンカーンはペンシルベニア州のゲティスバーグにおいて短い演説をするように依頼されました。
全体的に272語、1,449字という短いもので、時間にしても2分前後のものでしたが、多くの人にインパクトを与えたと考えられています。
なお、この時代はマイクなどもなく、リンカーンが演説を始めても人々が気づかなかったという背景があり、リンカーンが演説をしている写真はほとんど残っていません。
リンカーンメモリアルに残された演説
ワシントンD.C.にはリンカーンメモリアルというものがあります。
ホワイトハウスの近くで、ワシントンメモリアルに面した位置にあります。
このメモリアルの中にはリンカーンの銅像が建てられていますが、内部の壁にはこの有名なゲティスバーグ演説が彫り込まれています。
特に「人民の人民による人民のための政治」という箇所はツアーなどでも紹介される場所であり、多くの人が目にしています。
もしもワシントンDCに行く機会があれば、ぜひこの部分を探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしょうか。
リンカーンと言えば奴隷解放宣言を出した大統領として知られていますが、実はこのゲティスバーグ演説でもよく知られている大統領です。
この「人民の人民による人民のための政治」というのは生徒会選挙などでもよく使われている言葉ですね。